西本願寺白書院
2013年 10月 25日
もう少し、西本願寺の文化財について書かせて下さい。これは、白書院の対面所『鴻の間』です。なぜこの名があるかというと、この部屋の正面、上座と下座を分ける欄間にコウノトリが彫られているからです。また、『雁の間』という部屋もあります。おなじく、欄間に雁が彫られ、襖絵も雁の群れが描かれています。雁の間から隣の部屋を欄間越しに見ると、隣の部屋の銀色の月が望めて、なんと粋な意匠かと、感心してしまいます。
しかし、どちらも照明はないので、真っ暗です。外からの陽の光も、ほとんど届いておりません。見学用の照明が、見学中は点灯されるのですが、光量が少ないので、写真はまず撮れません。昔のマグネシウムを焚くフラッシュではないので、直接的な化学変化はないようにも思えますが、毎日たくさんの人が勝手にフラッシュを点ければ、そりゃ劣化が促進してしまうでしょう。写真のほうがよく見えるというのが、情けなくも残念です。せっかく、本物が目の前にあるのにねぇ。
白書院の入口『虎の間』は、人の出入りが頻繁で、風、人の体温、摺れなど、いろいろな原因で劣化が激しく、ほとんど見えなくなってしまったものをスキャンして、現代の復元技術であらたに再現して見せています。今、全国の社寺の襖絵、壁画などがこの方法でレプリカに換えられています。近くの二条城の障壁画も、ようやくこの作業が終わりました。本物は倉庫で、厳重に温度、湿度管理され、めったに一般の人の目に触れることはなくなるでしょう。本物に寸分たがわず、かえって良い状況のものが見られるはずですが、気分は下がります。文化財とはそういうものでしょう。
白書院 一の間から上段の三の間を望む。
by JF1EBPKH
| 2013-10-25 22:29
| 旅
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