フィレンツェ添乗2
2014年 09月 19日
今回の研修地は、フィレンツェとミラノの2都市。例年はこれにヴェネチアか、ローマを入れて3都市なのですが、9日間で3都市は忙し過ぎるので、今年はゆっくりとした内容です。企画提案者として、このコラボレーション授業を5年前に始めて、添乗は初めてです。ミラノはともかく、フィレンツェの職人工房はかなり見ておりますが、今回は前々から是非見ておきたい工房がありました。ルネサンス時代の織物を、その時代の織機でいまだに織っている工房があるのです。“LISIO”という工房ですが、学生達には1回目から見学させていただいております。簡単に言えば、ウフィッツイ美術館にあるボッティチェリの『春』とか『ヴィーナスの誕生』に描かれている衣裳を、今でも注文すれば織ってくれるのです。これって、すごくありません?見本帳もあります。
機織りはビロード織りを見せていただきました。ビロード、ベルベット、別珍、いろいろ呼ばれていますが、ビロードは発明した人の名前です。イタリア人でした。信長や秀吉の衣服にもビロード織りのものが残っていますが、これはポルトガルから入ってきたもの。生地の光沢と感触は、まさに南蛮渡来そのものだったでしょう。では、その起毛はどのように作るのか。簡単に言うと、タオルのようなパイル織りの輪になっているその輪を切ってしまうのです。何で切るか。刃物で切ってしまうのですが、横糸の代わりに金属の針金を入れ、、針金に沿ってループになっている糸のてっぺんを切るというわけです。その刃物がこれです。
この工房では、フェンディの一品モノの作品や、カルティエの布地も織っています。和歌山県の橋本には、世界一毛足の長い(10cmあるものもあります)パイル織りが出来る織り物工房がいくつもあります。それを見てもらうのもいいですが、15世紀の織り物と同じものをいまだに織ることの出来る工房が、故地フィレンツェにあるということに感動して欲しかったのです。
by jf1ebpkh
| 2014-09-19 22:38
| 仕事
|
Comments(0)