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日記


by JF1EBPKH
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私の本棚99

無所属の時間で生きる (朝日文庫)

城山 三郎 / 朝日新聞社


  今回の添乗では、城山三郎さんの『無所属の時間で生きる』を持っていきました。最近はこう言っては何ですが、お客様の振る舞いにイライラさせられることが多くなって、心の安寧を図るために、価値観が同じだと思われる方の本を持って、心を静めさせております。でも、今回は本を読むこともなく、集合から解散までの、往復の電車の中だけの読み物になりました。『無所属の中で生きる』??。これは、『この日、この空、この私』というものと同じではないのかな、と読み初めに思いながらも、同じでもいいや、心の安寧を得るためだものとそのまま読み進めましたが、やはりこの人の随筆はいいなぁと、心が落ち着きます。城山三郎さんの著書は、小説も含めて何冊も読ませていただきましたが、文官官僚でただ一人戦犯として処刑された広田弘毅を描いた『落日燃ゆ』や、誰も引き受けてのない国鉄の再興を、政財界から懇願されて無給で引き受けた石田禮助の心意気を描く『粗にして野だが卑ではない』など。そしてこの人の著作の書名がいいのです。財界総理とはこの石坂泰三氏を嚆矢としますが、『もう、きみには頼まない』とか、配偶者の死を送って、『そうか、もう君はいないのか』など、署名だけで哀調が伝わってきます。「もう、きみには頼まない」と言われた大蔵大臣はどう対処すればよいのでしょう。今の、というより先の東芝の役員全員に聞かせたかった。
by JF1EBPKH | 2017-06-02 23:47 | | Comments(0)