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金沢でちょっとびっくり

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   ちょっと金沢でのお話。大学の研修3日目は学生の自主研修日ですので、私も自主研修させていただきました。安江の金箔工芸館のことはもう話しましたが、兼六園の敷地の中に『成巽閣』という前田家の別荘があり、その2階に“群青の間”という部屋がございます。この部屋の土壁に濃紺の群青が塗り込められているのでこの名があるのですが、私は鉱物の藍銅鉱を砕いて漆喰に混ぜて塗り込めたとばかり思っていたのですが、部屋の説明板にはラピスラズリを使ったとありました。藍銅鉱であれば、これは日本画の顔料として昔からあるものだし、高価なものですが手に入りやすかったから当然とばかり思っておりました。同じような鉱物顔料ですが、わざわざ輸入してまで使っていたとはちょっとびっくり。e0116694_22592726.jpg
  その『成巽閣』と背中合わせになるところに、県立の『伝統工芸産業館』があります。ちょうど漆の企画展をやっておりましたので覗いてみましたら、漆職人の実技を見せているコーナーがありました。加賀仏壇の蒔絵の研ぎをやっていました。しばし、その作業を見ておりましたが、周りに見ている人もいないので、その炭は朴ですか?それとも椿ですか?と知ったかぶりをして尋ねましたら、何と合成炭だというのです。「へぇー、漆の研ぎに合成炭なんていうものがあるんですか」と、びっくりしました。大量の需要などほとんどないのに、こんなものまで作っているところがあるなんてもう驚きでした。「でも、とても使いやすいんですよ。均一ですから」と。漆芸では、漆を塗っては乾かし、塗っては乾かす作業が延々とあります。その表面を炭で研ぐ作業が付いて回ります。下塗り、中塗り、仕上げ、蒔絵など装飾する塗面では特に入念な研ぎが必要なので、下塗りには硬めの炭、蒔絵など繊細な塗り面には桐を焼いた柔らかい炭など(駿河炭ともよばれます)、椿や朴など年輪が固くない樹木で炭がつくられます。研ぐ時は炭を水に浸しながら、炭の繊維が漆の表面を傷つけないよう注意しながらの作業となります。訊けば、漆用の合成炭にもサンドペーパーのように番号があるんだそうです。使い勝手は合成炭の方が良いそうで、樹木から作られた炭ですと方向性や微妙な硬軟の癖があって幾つも手元に置いておかねばならないから、能率は合成炭の方が勝るとのこと。伝統工芸の技の世界も変わっているんですね。
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by JF1EBPKH | 2017-11-28 23:05 | 趣味 | Comments(0)